聖母で学んだこと


 私は小学校の時から学校に行っていませんでした。行けなくなった理由は今はわかりません。
 小学校の二年生で不登校になって家にずっといました。その時考えていたことは「自分はどうして学校に行けないんだろう」でした。考えれば考えるほどくるしくて、自分がいやになって、一日が長く感じて、早く終わればいいと思っていました。
 四年生になってからは相談室に登校していたけれど、それで学校にもどった、不登校ではなくなったということではありませんでした。ただ家にいると、親も先生も何かいやな感じがして、そのことから逃げたくて行っていただけでした。でも行ったり行かなかったり、夜に明日は行こうと思っても、朝になるとどうしても行けなくなって、考えるだけでつらくて、落ちこむだけでした。そういう時は、何か大きな物に心がつぶされるような気がしました。そして絶望的になり何もする気は起こりませんでした。そして始終不機嫌でした。
 小学校を卒業して中学校に行っても、また行けなくなる、何もかわらない、と思っていました。

 中学生になって一週間くらいで、また行けなくなりました。教室にいても、クラスの人が声をかけてくれても、うまくはなせなくてその教室にいることがいやでしかたなかったからです。いつも「わたしはどうして学校に行けないんだろう」どうして、なんで、と考えていると夜もなかなか眠れませんでした。そして私は「自分一人でいい、だれも私にかまわないでほしい」と思うようになったのです。
 聖母の小さな学校のことをはじめて聞いた時、私はその学校に行っていれば、親からも先生からもいろいろ言われないんじゃないか、いやなことをすこしは考えなくていいんじゃないか、と思っていました。

 聖母に通いはじめて驚いたことは、通っている人がよく笑っていたことと、自分の不登校のことを真剣に話していたことです。私は自分のことを話すのが苦手で、人の前で自分のことを話すのがいやでたまりませんでした。でも聖母の人たちは自分のことをよくみて話をしていました。今私は、人の前でも自分の気持ちを素直に言うことがだいぶ出来るようになりました。聖母のホームルームで不登校の話がでた時も、自分の意見が言えるようになりました。
 聖母に来て一番自分をみつめて、自分がかわるきっかけになったことは、スポーツフェスタです。聖母に来てはじめてのスポーツフェスタは、ただいるだけ、その場所にいることが精一杯でほかのことは覚えていません。
 二回目は、スポーツフェスタの準備もしてテーマも少し考えました。それまで、自分のことや不登校のことを考えることが出来なかった私が、それは自分に必要なこと、こう出来ればいいと思えたこと、これは私が聖母に来て一年で学んだことだと思います。この年は少し競技にも出れたし、楽しいと思えました。
 三回目は、副リーダーをしました。一回目や二回目とちがって、自分たちが中心になってパネルの絵を考えて、テーマを決めてとても大変でした。一番大変だったことは、パネルの説明を大勢の前で読んだことです。緊張して涙が出そうだったけど、最後まで読めてうれしくてほっとした気持ちでした。

 この年は電車通学をするようになったし、綾部中学校を卒業する年でした。中学を卒業するということは、これからの進路を決めないといけないので、先生との面談をよくしました。面談はとても大変でした。自分の心の中をよくみて、私は高校に行ってみたいと思う気持ちはある、でも大勢の人の中に入るのはまだ出来ない、だから大勢の人の中に入り、自分の気持ちを伝えられるようになりたいと思って四年生として聖母に残ることに決めました。

 聖母で過ごす最後の一年は、自分の気持ちを素直によくみつめられたと思います。
 スポーツフェスタのテーマもじっくり考えて、一番今年にあったテーマが出来たと思います。当日も心から楽しいと思えました。そして今年一年の自分の目標が出てきました。私は小学校から学校へ行っていなかったので人とかかわることがうまく出来ず避けていたので、自分がいやだと思うと自分は思っていなくても、相手に冷たくしたり、きつい言葉を言ってしまって、知らない間に相手を傷つけてしまっていたんだと気づいたのです。だから私の目標は、「人にやさしくする」に決めました。やさしくするというのは思ったより大変で、よく先生に「あなたの目標は」と言われました。新しい人が来て話しかける時、目標を思い出して今はだいぶ自然に話しかけられるようになりました。だいぶ自然にやさしく出来るようになりました。今は先生に「もっと笑いなさい」と言われます。
 私は聖母に四年生として残ることに決めて、高校に行けるように、聖母とは違う人がいる塾に行っていました。はじめはなれないことが多くて行くのがいやだと思った時もあるけど、行って塾の人と話をするようになって少し楽しいと思うようになりました。

 私は福知山のS高等学校を受けることにしました。それは聖母で和裁やボランティアをしていたので、S高校にも被服や福祉のコースがあると聞いて、S高校を受けようと思いました。高校に行くと決めてからも高校に行けるかどうか不安でした。でも自分が今までしてきたこと、自分が思っていることを相手に伝えること、一緒に考えて行動すること、人にやさしくすること、このことを考えれば行けないんじゃないかという不安は少しうすれて大丈夫だと思いました。

 前はすべてを閉ざしてだれも私に近づかないようにしていたけど、心を開いて人と接していると、見えなかった自分や可能性が見えて、高校に行って、自分のしたいこと、将来の夢が考えられるようになりました。今はまとめをしっかりしたいと思っています。
 聖母に来て四年間、気持ちを素直に相手に伝える、自分を見つめる、一緒に考えて行動する、人にやさしくする、などもっとたくさんのことが聖母に来て学べました。
 不登校になってつらいことがたくさんあったけど、不登校になって聖母に来れて私はとてもしあわせでした。
 高校に行っても時々聖母に来て、心の中にあることを話して、すっきりして高校生活を送りたいと思っています。

(2002年度 聖母の小さな学校文集「自分をみつめて」から)